おはようございます。
今日はNARUTOオンリー「忍ノ國から」に参加しています。
い-11です。
新刊はかいりさんとの合同誌です!
2/1「忍の國から」(ナルトオンリー)でカカナル合同本が出ます。
サークル名「くろいあぶらがえる」
スペース「い11」
新刊「幻日」(記憶喪失がテーマの合同本)
P.52/¥500/R18
かいりさんとの合同本です。
ゲストは春薪琴音さん!
お二人の作品は18禁です。
サンプルは↓
ふと気がつくと知らない景色が広がっていた。
金色の髪をした少年は、ゆっくりと顔を上げ、あたりを見回す。
目の前には背丈の半分ほどの草が生い茂っている。後ろ振り向くと同じような草が、抜かれ地面に置かれていた。
手のひらを見ると、土と草の汁が付いている。それを見て、草むしりをしていたんだ、と思った。
けれどなぜ草むしりをしていたのかがわからない。それどころかここがどこで、自分が誰なのかもわからず、ぼんやりと考えこむ。
「ちょっとナルト!休んでないで真面目にやりなさいよ!」
草をかき分けて、桜色の髪をした少女が勢いよく怒鳴り込んできた。突然のことに驚いて、びくっと肩をすくめる。少し気が強そうだが、可愛らしい女の子だ。
(この子は誰だろう)
きょとんとして見ていると、女の子の顔がますます険しくなった。どうやら、ナルトというのは自分の名前のようだということに気づく。自分が何者か少しでもわかって、少しほっとした。
「なによ、無視?…ってかナルト、あんたちょっと顔色悪くない?」
自分の名前がわかりほっとしていると、草をかき分けて少女が乗り出してきた。額当てを外し、手についていた泥を拭ってから、そこへ手のひらを当ててくる。
触れた瞬間だけひやりとしたが、やわらかい、優しい手の感触が心地よい。
最初こそ、険のある表情をしていたが、ナルトがあまりにもぼんやりしていることに心配し、だんだん眉が下がってきた。「あんた、ちょっと熱があるじゃない」
少女は驚いたように声を上げて、手を離す。自分でも額に手を当ててみるが、よくわからず首をかしげた。
「馬鹿でも風邪引くのね」
さらりときついことを告げて、少女は立ち上がる。
「カカシ先生ー!ナルト体調悪いみたい」
後方にいる誰かに、少女が大きな声で話しかける。彼女につられてナルトも後ろを振り向くと、大きな岩に腰掛けながら本を読んでいた男が顔を上げた。日の光に銀色の髪がきらめく。口元にはマスク、左目も額当てで隠されている。唯一露わになっている右目に捉えられたとき、少女に怒鳴りこまれたとき以上にナルトの肩が揺れた。周りに聞こえるのではないかと思うくらい、心臓がどくどくと音を立てている。頭が割れるほど痛い。視界がかすんで、景色が左右に揺れる。
大きく景色が歪んだところで、少女の悲鳴が遠くから聞こえた。だんだんと暗くなっていく視界に、必死で「ナルト」と呼びかける少女の顔と、黒髪の少年が映る。銀色の男の顔がのぞいたところで、完全に視界は黒く塗りつぶされた。
※ ※ ※
その夜遅くナルトは目を覚ました。ベッドのそばで小さな電球が光っていた。付近には誰にもいないようだ。薄暗い部屋をゆっくりと見回してみると、いくつかベッドがあるようだが、他のベッドは空いていて、頭がぼんやりしていて、何も考えることができない。
「いてて…」
体を起こすとあちこちが痛み、ナルトは顔をしかめる。倒れたときに打ったのだろう。だが動けないほどの怪我ではない。そうっとベッドから降りて窓辺に近づく。
窓ガラスに映った自分をじっと見つめた。金色の髪、青い目。これが自分なのかと物珍しそうに眺める。
ぼんやりと自分の姿と、外の景色を見ているとゆらっと自分の顔が揺らいだ気がした。まだ倒れる前の後遺症が残っているのかもしれないと思い目をこする。
そしてもう一度窓に視線を送ると、再び鏡に映った自分の顔が歪んだ。