COMIC CITY100

1/11COMIC CITY100新刊サンプルです。
友だちと合同でカカナルコピー本です。

サークル名:くろいあぶらがえる
スペース:6号館Cね40b

新刊
「そんな目で見ないで」
カカシ×ナルト
P.16/A5/100円
かいりさん
萌葱さん
彩実
三人合同本です。
私は1部ナルトで書いています。

あと既刊を何種類か置いてます。
見本は↓です。

背後から視線を感じるのは今に始まったことではない。
本日の任務である草むしりをしながら、うずまきナルトは視線の持ち主の方へそうっと視線だけを動かした。
だが、ナルトが視線を向けると、それに気づいたのか、彼は手元にある本を読みふけっていた。
視線の持ち主だろうと思われる人物ははたけカカシ。ナルトをはじめとした第七班の担当上忍だ。元暗部という経歴ももつ。
そんなカカシが自分たちの担当になった理由に、ナルトは薄々気づいていた。
誰にも気付かれないように、ナルトは小さく溜息をつく。いや、もしかしたら優秀な担当上忍はそれにも気づいているかもしれない。
幼い頃から、街に出れば大人たちは誰も彼もが無遠慮で、悪意に滲んだ視線をナルトへ向けた。おかげでひどく見られていることに敏感になってしまった。悪意があるかもないのかも、大体わかる。
だけどカカシの視線から感情はうまく汲み取れない。これも上忍がなせる技のようなものだろうか。
(監視、してるのかな…)
ナルトに向けられているしせんは、悪意や怯え、怒り。負の感情にあふれている。12年前里を壊滅寸前まで追い込んだ『九尾の狐』ーー。それがナルトの腹にいる。その事実を知ったのは、ほんの少し前だ。理由を知って驚いたと同時に、ナルトの中で自分が忌避されていることが、すとんと納得がいった。だからこの腹の狐を監視するためにカカシが自分たちの担当になったのだろう。里をまとめる三代目火影はナルトにとてもよくしてくれるが、もしものときのことも考えている。里の平和を保たなければならないのだからこれは当然の対応だ。
それを少し寂しいと思うと同時に、しっかりと里を守ろうとする火影に憧れを抱く。
いつか、自分も三代目火影のように里を守ることができるのだろうか。今は頭で考えるよりも先に体が動いてしまってまだまだ火影には程遠いようだ。
考えながらもブチブチとナルトは草を引っこ抜く。少しでも手をとめると、七班の紅一点・春野サクラが黙ってはいない。すでに今日は何発かもらっている。女子とは思えない威力だった。それでもナルトは彼女のことが好きだ。まっすぐで、ひたむきで、自分の正義に正直だ。人一倍常識的だから、ときおり、重いムチというか拳がが飛んでくるが、無視されるよりずっといい。
ちらりとサクラの方を見てみると、服が汚れると文句を言っていた割には懸命に草をむしっていた。
「…なにぼーっとしてるのよ」
ナルトの視線に気づいたサクラが、うらめしげににらみつけてナルトに小声で話しかけてくる。そういうところが真面目だなぁ、とナルトは感心する。少しくらい話しているのを見てもカカシはなにも言わないだろう。
ごめん、とサクラに小さく謝ってみせて、再び草むしりを再開したところで、再び背中に視線を感じた。
ナルトはとっさに後ろを振り返る。すると、こちらを見ているカカシと目があった。いざ目が合ってしまうと、どうしていいかわからなくなる。
時間にしてほんの数秒見つめあって、カカシが先に目をそらした。目が合っていた間、カカシの瞳にはなにも感情がこもっていかのように見えた。それが怖くて蛇に睨まれたカエルのような気持ちになり、ナルトから目をそらすことはできなかった。
(やっぱり、カカシ先生だったんだ…)
視線の持ち主がわかったことは少しすっきりしたが、今度は寂しさが胸を襲う。もう今まで通りではいられない。自分の行動は常に見られているのだと意識してしまう。
(気づきたくなかったなぁ)
引き抜こうとしていた草が、ぶちぶちと音を立ててちぎれる。
ちぎれた葉っぱを見て、ナルトは小さくため息をついた。




2015/01/10