せんせー、俺、先生のヒミツ、知ってるよ。
でもまだ俺が知ってるってことせんせーには言わない。
だって、後から言った方が先生驚くでしょ?俺、せんせーの驚いた顔見たいんだー。
だから、俺全然知らないフリしてあげる。
だから、センセーは安心して俺のこと騙していて。
だから、俺の知らないところでそんな顔しないで
だから、せんせーは幸せソウに嗤ってて。
だから、俺のこと、ダイスキになってね。
そんでさー、せんせーが俺のことめちゃくちゃ好きになったら俺がせんせーのヒミツ知ってること教えてあげるってば。
どれくらい驚いてくれるかな?
どうしたら、俺が考えている以上に驚いてくれるかな?
十分気をつけなくっちゃ。俺ってば、すぐ顔にでちゃうから。
大好きな・・・カカシセンセイ。
はやく、早く、ハヤク、俺のこと、一番好きになってね。
そしたら・・・・
ナルト、どうしてお前はそんなにかわいいんだろうね。
くるくる動く表情、太陽みたいなまぶしい笑顔、すぐにムキになる性格。
ホント、可愛すぎて殺したいくらいだヨ。
オマエは、所詮化け狐なのに。
オマエが、九尾じゃなきゃ、惚れてたかもね~。顔と性格は可愛いから。
俺の大事な人たちを殺した化けギツネなのに。
どうして、そんな顔で笑えるんだ?
どうして、そんな顔で俺に話しかけてくるんだ?
どうして、俺にそんな風に懐いてくるのカナ?
オマエのすべてが忌々しいよ。
俺が、オマエのこと好きだと思っているのカナ?
・・・そうだね、大好きだよ。
だからナルトも、俺のこと一番大好きになってよ。
そしたら・・・・
カカシせんせーが俺のこと一番好きになってくれたら、
ナルトが俺のこと一番好きになったら、
だぁい好きなカカシせんせーを
大好きなナルトを
―――――――――――――――奈落に叩き堕としてあげるから。
「カカシせんせー!!」
ナルトは、カカシを押し倒さんばかりの勢いで抱きついた。
何の気配もなく抱きついてきたナルトに、カカシは少し驚いていた。
「・・・オマエねー、気配殺して抱きついてくるのやめなさいよ。びっくりするデショ。」「せんせの修行が足りないってば!!俺ってば、火影になるため日々マイシン中だってばよ!!」
にこにこ、ナルトはカカシに向かって無邪気な笑みを浮かべてる。
そんなナルトは確かに可愛かったが、カカシにとっては憎しみの対象でしかなかった。ナルトが笑っているのを見ると言いようもない黒い感情がこみ上げてくる。
「マイシンって、漢字で書いてごらーんナルト。・・・考え事をしていたとはいえ、気配消して俺に抱きつけるなんてスゴイな。」
カカシはそう言ってナルトの頭をぐしゃぐしゃと撫でまわした。
これは、ホントウ。心の底からナルトを誉めている。
すごいな。さすが化け狐。気配を殺すのは、オマエは実は誰より長けてるもんな。
ドベのフリして気配を殺すことだけは上忍並。クソ生意気なうちはのエリートやうだつの
上がらない中忍よりも、オマエは気配を殺すことがうまいんだよな。
ナルトはうれしそうに目を細め、笑顔をカカシに向けた。
なにも、知らないような、本当にうれしそうな顔でナルトは笑った。
―――――俺ってば、知ってるんだよ。カカシせんせーは俺の笑顔が大っ嫌いってこと。
だって、俺が笑ってるときのカカシせんせーは、笑ってるけど笑ってない。せんせーの瞳の奥に見えるってば。俺への憎しみが。俺は、せんせーのそんな瞳はダイスキだよ。だか
ら、もっと、もっと、もっと、せんせーに笑顔を見せてあげる。
「ねーせんせー今日の任務で俺ってば大活躍!だからせんせーからごほーびがほしいな~。」
「オマエは最終的に捕まえただけだろ。むしろ大活躍なのはサスケ。オマエのところまで追い込んだのはサスケデショ?」
む~~!!
ナルトの顔がだんだん不機嫌なものになっていった。ナルトにとって、自分よりサスケが優れている、と言われることが何よりナルトの機嫌を損ねるものだとカカシはわかっていた。
「でも、捕まえたのは俺だってば!!サクラちゃんだってスゴイって誉めてくれたってばよ!!・・・サスケは、もっとスゴイって・・・言ってたけど・・・。せんせーくらいには素直に誉めてほしかったってば・・・」
後になるに連れて、ナルトの声は小さなものになっていった。
そんなナルトを見てカカシは慌てふためいて「スゴイねー大活躍だねー」と褒め称えた。
それがまたナルトの気に障ったようだ。
「もういいっっ!!カカシセンセーのばーか!!」
だっっ!!!
ナルトは踵をかえし、走り去っていった。
声音は決して怒ってはいなかった。表情は笑ったままだった。
でも・・・・
そこには、少し傷ついた顔のカカシがポツン、と残されていた。
ちっ
カカシは軽く舌打ちする。
どうして、俺があいつが泣きそうだからってフォローしないといけないんだ。
クソ。
カカシはいらだちの意味も分からずに、ただその場に立ちつくしていた。
さすがは上忍、俺の挑発にそう簡単には乗ってくれないね。
全然追っかけてきてくれない。
やっぱり、まだまだカカシせんせーは俺のこと好きじゃないみたい。
考えてみれば当然。
俺ってば、カカシせんせーが憎んでも憎んでも憎んでも口じゃいえなくくらい憎んでても仕方ない九尾の器。
あはは、カカシせんせーはうまく隠してるつもりだけど全然ダメ。
バレバレだよ、せんせー。目は口ほどにものを言うって言葉知ってる?
お馬鹿な俺が一番最初に覚えた、俺にとって何よりも信じられる言葉。
センセーの瞳さ、はっきり言ってそこら辺のガキより正直だよ。
上忍でしょ?もっとうまく感情隠したら?その瞳の奥に写ってるのは、俺への憎悪だけでしょ?
「ナールト、昨日はゴメンな。先生、ちょっとからかっただけなんだよ。ね?許してくれる?」
まるで、恋人に許しを請うかのようにナルトへ謝る。
ナルトとしてはちょっと驚かされた。カカシのことだから、きっと何事もなかったかのように振る舞うのだろうと。そう思っていたからだ。
「カカシせんせー、俺怒ってないってば。素直に謝るせんせーなんてちょっとキモチワルイってばよ。そのかわり、今日の任務でがんばったら、一楽のラーメン奢ってくれる?」
ナルトは可愛らしくカカシの顔をのぞき込む。カカシのナルトを嫌悪する瞳を見るために。
「ん~~仕方ないネ、ナルトの頼みじゃ。今日の任務は河原でゴミ拾い。ナルトがたくさんゴミを集められたらラーメンを奢ってあげるよ。先生と勝負な。じゃ、ペアはサスケ・ナルト下流、俺とサクラで上流。以上時間までしっかりがんばれよ~~」
サクラから非難の声があがるがカカシは全くの無視。
イチャイチャベタベタ。
周りから見ればまったくのバカップル状態。
二人は、決してそんな甘い関係ではないのに。お互いに、相手を騙そうとたくらんでいるのに。
そんな二人を見てサスケは誰にも悟られないようにチッと舌打ち、誰にも見られないようにカカシを睨め付ける。
そんな視線に気が付いているのは、サスケの嫉妬の対象であるカカシだけだった。
サスケったら、そーんなにナルトといる俺が気にくわないかね~・・・。
だったらもっと素直になったら?殺したくなるほど鈍いナルトじゃ、そんな遠回しなアプローチじゃわからないデショ?まーもっとも、オマエがはいる隙間なんてないけどね。
ナルトは、俺のものだよ。・・・・・アレ?
カカシは、自分の思考に驚く。殺したいほど憎んでいるナルト。
俺のものだって思うのは、どういうこと?
「おいドベ、行くぞ。」
無愛想な声でサスケはナルトに声をかける。
「ドベって言うな!!バカサスケ!!」
「ドベにドベって言って何が悪い。さっさと行くぞ、だからオマエはドベなんだ。」
サスケに引っ張られるように川の下流へと消えていくナルト。
そんな二人をカカシは呆然と見ていた。
珍しく、感情をあらわにして。
「カカシ先生。私たちも早く作業に取りかかりましょう。それともーそんなにナルトが気になるのー?」
冗談交じりのサクラの言葉。
少し胸に突き刺さる。
気にならないと言えば、嘘になる。ナルトは自分が一番憎んでいる九尾。
恋愛感情を持つということ自体が馬鹿馬鹿しい。
だけど・・・・
「サークラ、ほら、俺たちも行くぞ。」
少し持った考えもまるで拒否するかのようにカカシは頭を振って上流の方へと向かっていった。
サクラもそれにならいサスケに未練を残しながらもカカシの後に付いていった。
サスケとナルトは黙々と作業を続けていた。
普段滅多に口を利かないサスケだが、自分の担当していたところが終わったのでナルトに声をかけた。
「おいドベ。こっちは終わったぞ。」
「ドベって言うなってばよ!!俺だって終わったってば!!」
見事に背中にしょったかごいっぱいにゴミを入れ偉そうにふんぞり返ってるナルト。
サスケの冷ややかな視線がナルトに突き刺さる。
「オマエ・・・そんなにラーメン食べたかったのか?」
「へ?」
不意の質問にナルトは少々戸惑う。サスケの言っている意味がよくわからない。
「さっき、カカシのヤローと約束してたじゃないか。カカシよりたくさんゴミを拾えたらラーメンを食べに連れて行ってもらうって。」
珍しく口数が多いサスケにやっぱりナルトは驚いていたが、次の瞬間サスケには信じられないような言葉が耳に入ってきた。
「別にそんなこと、どうでも良いことだってばよ」
ポロリ、と漏らしたナルトの本音。
事実、ナルトにとってカカシと一楽に行くことはどうでも良かった。
どうやって、カカシを自分を好きにさせるかが、ナルトの最優先事項だった。
「あ?」
ナルトは瞬間的にしまったと思った。
サスケの怪訝そうな顔を見て、ナルトはとっさにウソをついた。
「だって、カカシせんせーは結局連れてってくれるもん。だから、勝負なんてどうでも言いってば。サスケもラーメン食べたいのか?うまいもんなーラーメンvv」
一楽のみそラーメンが最高なんだってばよ、と無邪気に笑うナルト。
その笑顔を見たサスケはその笑顔がカカシに向けられているものだと思い、悔しさに思わず唇をかんだ。
ホントは俺がカカシせんせーとラーメンの約束忘れてたって。
別に俺にとってどうでも良いこと。ところでさーサスケも、カカシせんせーのこと嫌いだもんね。俺と一緒。あの妙に暢気ぶったところが嫌いなんでしょ?俺と一緒。自分は他人に自分の領域侵されるのが大っ嫌いなのに、そのクセ人の領域にはずかずか土足ではいってくるところが嫌いなんでしょ?俺と一緒。それでもさー、サスケは心のどこかでカカシせんせーを認めてるんだよねー。俺とは逆だね。俺はあの人のこと認めないよ。
「サスケもラーメン食べに行くのか?」
珍しく喧嘩にならず、まともに会話を交わしているサスケとナルト。
いつもは、売り言葉に買い言葉絶対に喧嘩になるのに。
「サスケ?」
答えを待っても何も言わないサスケの顔をのぞき込む。
サスケは、バッと顔を逸らした。
「ドベ!!急に視界にはいるな!!」
ぐっと襟首をつかみ、サスケはナルトを引き剥がす。
「っててっ!!何すんだよっ!!はなせバカサスケ!!」
口喧嘩モード突入。仲良くじゃれ合うように喧嘩を始めた二人。
サスケも、ナルトもこんなやりとりがキライではなかった。ナルトが、唯一子供に戻れる時間。
そんなサスケとナルトを見る影が一つ。
普段滅多なことじゃ、任務中になるとの前に姿を現さない上忍。
ナルトは気付いてる。
だから何も知らない振りをして、自分を監視する影を嘲笑う。
気付いてないとでも思ってた?
あなたが監視してるってことは、とうの昔にわかっていたよ。たぶん、初めてあなたの瞳を見たときから
そして、気付かれてないと思っている上忍を嘲笑う。
気付いてないせんせー、いっそ早く気が付いて。でも、気付かないで。
せんせが気付いちゃったら、俺の計画台無し。そしたら、わざわざ無邪気な子供のフリしてた自分がバカみたいでしょ?ああ、もうさっさと俺のこと好きになるなり殺すなり、はっきりしてくれないかな?そろそろウザイよ、あんたのその視線。
ナルトの笑顔は一種の堤防。
笑っている顔に隠れているのは、どんな顔なの?
真剣な顔、怒ってる顔、泣いてる顔・・・眠っている顔。
俺は、全部見たことがない。
オマエは、いつも俺の前では笑顔でしかないから。
イルカ先生には見せたの?オマエの泣いてる顔
サスケには見せたの? オマエの笑っている顔
サクラには見せたの? オマエの真剣な顔
俺には見せてくれないの?君が無防備に眠っている顔。
だれが、オマエの全部の表情を見たことがあるの?
カカシはあまりゴミの落ちてない上流での作業を終わらせると、早々にナルトとサスケの元へとやってきた。
監視だ。
と理由を付けて。
そこで見たのは口喧嘩を繰り広げているサスケとナルト。
怒っているようで、それでいてうれしそうなナルトの顔と、無表情だが愛おしげな目でナルトを見るサスケ。
は?なんなの?オマエ。
どうして、サスケにはそんな顔見せるの?
気配を隠しもせずナルトとサスケを呆然と見つめるカカシ。
ナルトが気付くのも無理はなかった。人一倍ナルトはカカシの気配を感じるのに敏感。
サスケだってカカシがいるのに気が付いていた。
サスケが世界で一番やっかいだと思っている恋敵のカカシ。
番犬みたいにいつもナルトに張り付いてるカカシ。
少しだけ、酷薄な笑みを浮かべてカカシのほうを見る。
あの男にしては、珍しいくらいの感情の発露。
これ以上、ナルトに近づいたらどうなるだろう。
クッッ・・・・
サスケは少しだけ喉をならして笑った。
「むきーっ!!!サスケ!!何笑ってるんだってばよっ!!」
自分が笑われたと思い、サスケに突っかかるナルト。
サスケはそんなナルトが愛おしかった。
その瞬間だけは、ナルトは自分だけを見てくれているから。
知ってる、俺は知っている。
ナルト、おまえはカカシには笑っている顔しか見せないこと。
理由は知らないけど、ナルトはカカシに向かって怒った顔見せたたことないんだろう?
お前は俺は笑っている顔も、怒っている顔も向けてきてくれた。
それだけが、俺がカカシへ向けることのできる優越感。
「オイ、カカシ・・・いつまで隠れてるつもりだ・・・」
サスケの発した言葉に、ナルトは驚いたようにサスケと同じ方向へ視線を向ける。
さも、今気付きましたと言わんばかりのナルトの仕草。
いくらうちはのエリート下忍でも、いくら里をきっての優秀な上忍でもナルトの演技に気が付かない。
だってナルトは、ドベでウスラトンカチな里一番の嫌われ者の下忍だから。
「いや~サスケはさすがだネ。っていうか、ちゃんとカカシ先生って呼びなさいねー。ナ~ルト~、オマエはもうちょっと気配を読むくらいしなさいよ。それじゃ、いつか殺されちゃうよ」
俺からね
カカシは最後の言葉を心の中で呟いた。
ナルトにもサスケにもサクラにも、誰にも決して聞かせられないこの言葉。
ナルトを監視している。ナルトをいつでも殺せるように。
九尾が暴走しかけたら、封印が解けそうになったら。
カカシはいつでもナルトを殺せるように、ナルトを見つめ続ける。
本当に、監視しているだけ?
本当に、殺すためだけに見ているの?
ここ何日か、カカシに問いかけられる言葉。
たまに感じるナルトの蒼い視線。
すっと目を向けると、ナルトはいつも通りにこにこ笑っていた。そして、視線が消える。
まるで、最初から何も見ていなかったかのように。
カカシに向けられる視線が消える。
ナルト・・・オマエは何を考えているの?
「せんせーに?」
せんせーに殺されるの?
思わず、ナルトはそう口に出しそうになった。
そんなことを思っていても、ナルトの口からは違うことを口走っている。
「せんせー!!今日、ラーメン奢ってくれるの?俺めちゃくちゃがんばったってばよ!!」
思っていることはおくびににも出さず、ナルトはカカシへ駆け寄り、シシシと笑いながら言った。カカシは一瞬だけ顔をしかめると、駆け寄ってくるナルトに向かって笑いかけた。
「ん~~・・・俺今日の夜任務で里にいないんだよね。明日奢ってあげるから、それでもいい?ナルト?」
嘘。任務で里にいないなんて嘘。
カカシは今ナルトに対してどう接して良いかわからなかった。
ナルトを憎んでいる。
確かにその気持ちはあった。
『九尾の器』のナルトではなく『ナルト』自身が憎らしかった。
どうして、自分の知らない顔を、自分以外の人には見せるのかと。
「えー!!明日ー?・・・任務なら仕方ないってばよ。明日まで我慢する。だから、明日は絶対一楽に行こうね。カカシせんせー・・・。」
寂しそうにナルトはカカシに微笑みかけた。「でも絶対明日は約束だってばよ!!」そういうのも忘れずに。
ほんの少し見えた、ナルトの落胆の色。
カカシは、また、戸惑い始める。
ナルトが、俺の知らない表情を見せてくれた。
たくさん約束を破れば、今度は怒ってくれる?
たくさん優しくしたら、好きになってくれる?
好きになってくれたら、俺の前で泣いてくれる?
好きになってくれたら、俺の隣で眠ってくれる?
・・・俺だけのために、オマエは笑ってくれるようになるの?
「明日、な・・・。そうだ、サスケ、ナルト、今日の任務終わり次第解散だから、もうかえってイイヨ。サクラは先に帰したから。俺は今から報告書の提出。じゃ~気をつけて帰れよ」
「カカシせんせー、また明日ね。」
にこにこ笑う、無邪気そうなナルト。
「・・・」
なにも言わない無表情なサスケ。
カカシは、その場から消えるように立ち消えた。
ポツン、とその場に残されたサスケとナルトはゴミを片づけ、ふぅっと一息ついた。
珍しいね、カカシせんせ。せんせーが、見え透いたウソをつくなんて。
今日任務なんてウソでしょ?ラーメンなんかどうでもいいよ。せんせーが、早く俺のこと好きになってくれるなら。何もいらないよ?それから、憎しみだけの瞳を向けて。憎しみのないカカシせんせーの瞳なんかツマンナイ。
「ナルト」
普段は絶対、ナルトのことを名前で呼んだりはしないサスケが名前を呼んだ。
ナルトは驚いて目を見開く。
「なに?サスケ」
ナルトより少し背の高いサスケ。ナルトはのぞき込むようにサスケに返事を返した。
・・・・・・・・・・可愛すぎ・・・・・・。
くらり、と目眩がした。サスケにとって、そんなナルトは少々刺激物だった。
「いや、その、今日は俺が奢ってやるから、俺と一楽行くか?」
サスケの言葉にまたまた驚くナルト。
未だかつてサスケからこんな言葉が出ただろうか。イヤない。
ナルトはどれだけ自分の記憶を探っても、今日のようなサスケは見たことがなかった。
「え?奢ってくれんの?サスケが?」
ドベなフリしているナルト。ホントは、人の気持ちに聡いナルト。〈特に、憎悪に関しては。〉でも本当にこのときはサスケがどうして自分に『奢ってやる』なんて言った意味が分からなかった。
「ひ、一人でラーメン食べるのもなんだろ!行くのか行かないのかはっきりしろ、ウスラトンカチ!!」
少しだけ顔を紅くしているサスケに、ナルトは全く気が付いていなかった。
ナルトは「早くラーメン食べに行こうってば!!」とサスケの手を引っ張り一楽へとかけだしていた。
続