きっとお前がいなくなったなら。
悲しくて食事も喉を通らない。
生きる気力も湧かない。
俺は笑うことだって忘れてしまって、きっと泣いてばかりいるよ。
いつだったか紡いだ言葉。
君は笑って無理だよと言った。
泣いていたけれど、いつしか涙はとまった。笑顔だって浮かべられるようになって、ナルトの琴を思い出すことも徐々に減っていった。
ナルトを失ったときこそ、三日三晩泣き暮らして、やっぱり生きる気力も、食欲もなかった。眠ることすら忘れていて、このまま死んでしまえばいいのにと思ったけれど。
四日目の朝、ぴたりと涙は止まった。そしてどうしようもない空腹感がこみ上げてきて食事を取ると、三日分を取り戻すかのように胃に物を詰め込んだ。
ゆるやかに死に向かっていた体はあっという間にいつもの調子に戻ってしまった。
それからはもう普段と変わらない生活がそこにはあった。違うのは、ナルトがいないということだけ。
あのとき、ナルトに言った言葉は決して戯れなんかじゃなかった。想像するとものすごく悲しくて。胸が苦しかった。息もできないかと思った。
なのに今は、お前がいたころと少しも変わらずに任務をして、家に帰って、食事をして、風呂に入って、眠る。
そして目が覚めたらまた任務に行く。そんな生活。
けど、たまにナルトのことを思い出すよ。いや、思い出すんじゃなくて、無意識にお前のことを探してるんだ。
例えば、朝目が覚めたとき。
いつも隣にあったナルトのぬくもりを探してた。
例えば、任務をしているとき。
お前はいつだってはりきって「早く早く」と急かしてたね。
例えば、食事をとるときも。
例えば、眠るときも。
無意識にお前のことを思い出すよ。
もう、涙は出ない。
哀しいとすら思わない。
きっと自分はからっぽになってしまったんだ。
ただ、お前がいない日常を。
あのころと同じ、変わらない日々を。
お前がいない場所で。
なにも変わらずに、時間はすぎていくんだ。