「おいしい?ナルトくんの小さなお口でもちゃんと食べられるように、小さいのにしたのよ」
むき出しの内腿に口づけながら大蛇丸が囁く。
「これは動かないタイプのおもちゃだから、少し退屈かもしれないわね」
「ひあ…っ、あ………あぁあ………っ」
ゆっくりとした抜き差しが行われる。
扱いに慣れている大蛇丸がソレを動かす度に、ナルトはままならぬ体をよじらせてすすり泣いた。
「気持ちいいの?こんなおもちゃでも嬉しいのね。あなた、やっぱり私じゃなくても良いんじゃないの?」
再び問われ、必死に首を振る。
「そう?でも、ココはおいしそうにしてるわよ?」
「やぁっ、あ…っ、だめ………っ、そんなっ、ひっ………やあぁ…っ!」
クルクルと内部で回転されると、じわりとその部分が濡れてくるのが自分で分かってしまう。
濡れる箇所ではないと思っていた器官が濡れることを、大蛇丸に抱かれるようになって初めて知った。
「ほら、ぐちゅぐちゅいってる。もっと動かして欲しいの?」
桃色の胸の突起に舌を這わせながらの言葉に、薬であぶられている体が敏感に反応する。
「やあぁ…っ、ひっ、ああぁ………っ」
髪を撫でられるだけで体温があがる。
頬に触れられるだけで体が震える。
もう堪えられなかった。
作り物の冷たさよりも、生身の熱を感じたかった。
「…ろちま……っ、も………っ」
回らない舌で必死に訴える。
「ん?どうしたの?」
膝をゆっくりと撫でながら大蛇丸が聞いてくる。
なんでもない行為のはずなのに、今はそれだけで熱くなってしまう。
「入れ……て…ぇ………っ!」
必死で口にした言葉。
けれど、それだけでは許してもらえなかった。
「なにが、欲しいの?」
ゆっくりと、言い聞かせるように返された言葉に絶句する。
忘れかけていた羞恥が蘇るが、もうこれ以上無機質な凌辱を受けるのはいやだった。
「もっ…と、もっと………っき…の………っ」
途切れがちな小さな声を珍しく咎めることはせず、ただ意味ありげに微笑み、大蛇丸は「そう?ナルトくんったら、よくばりさんね」と告げて体を下へおろしていく。
「ンあっ、ああぁ…っ!」
ズルリ、と体内の異物が引き抜かれた。
狭間から、熱い体液が流れ落ちてくる。
それが自分の体液だと悟り、わざわざ指で拭っていく大蛇丸を今すぐそこから引き剥がしたくなった。
「ふふふ、綺麗ね、ナルトくんのココ。真っ赤に濡れて…もっと見ても良い?」
必死にって首を横に振るが、それが叶えられることはない。
踵を軽く押し上げられると、それだけで腰が浮く。
「やぁ…っ、ひっ、ひ…っ」
敏感になった入り口に息がかかった。
のぞき込まれている羞恥に、おかしくなりそうだ。
「もっ、や…ぁっ!ほしっ、の…にぃ……っ!」
欲しくて欲しくて狂いそうだった。
もっともっとたくさん触れて欲しくて。
もっともっとたくさん感じさせて欲しい。
体の快楽よりもほんの少しの安心が欲しいのに。
なのに、次の瞬間ナルトを襲ったのは、先ほどよりも強い圧迫感と冷たい無機物の感触だった。
「かひ…っ、ひっ………!」
過多な質量を飲み込まされ、悲鳴があがる。
「もっと大きいのが欲しかったんでしょう?…嬉しい?」
そこで初めて、ナルトは大蛇丸が心の底から怒っていることに気づいた。
余裕があるように見えていたのは、大蛇丸がいつも通りの声で話していたからで。
けれどその瞳はけして笑ってはいなかった。
瞳孔の絞られた独特の瞳の奥で揺らめく黒い光に言葉を失う。
切り裂かれないことが不思議だった。
以前、大蛇丸がこんな眼をした時には、体中を切り刻まれた。
実際に、ではなく、幻覚でそうされただけなのだったが、あの恐怖は今でもナルトの中に根深く残っている。
一気に青ざめたナルトの髪を優しく撫で、自分の中の狂気に気づき怯える愛しい子どもに、そっと囁く。
「アナタが悪いんじゃないことは分かってるのよ。でもね、どうしても我慢出来ないの。アナタの体に、私以外の誰かが触れたと思うだけでこの胸がドス黒く染まっていくのよ。アナタの体から薬が抜けるまでは、優しくしてあげられそうにないわ…」
「キライにならないで」という頬に口づけての言葉に、気づけばナルトは頷いていた。
「っ、…ろちま…の、こと…っ、きらっ、になんか…なれな…ってば………っ」
どれだけ酷くされても、自分が絶対に大蛇丸のことを嫌わない自信がナルトにはあった。
酷く苛みながらも、大蛇丸の手は常に労りと優しさをもってナルトに触れるから。
それを知っているから、どれだけ酷いことを強要されても、嫌だと思っても、大蛇丸自身を嫌いになることは絶対にないのだ。
「んぅっ、くふ………ぅっ」
噛みつくような口づけも、今は優しく感じる。
こうしていながらも、怯えているのは、大蛇丸の方なのだ。
彼の好きにすることで大蛇丸が安心してくれるのならば、ナルトはそれで良かった。
だから。
「ねぇ、見せて…?」
言われた時も、頷いた。
大蛇丸が言いたいことは分かっていた。
だから、離れていくぬくもりが寂しいと思いながらも、彼の前で大きく足を広げる。
「きひ…っ!」
小さな羽音にも似た音とともに、体内の異物がゆっくりと動き始めた。
少し離れた場所にある椅子に座り、大蛇丸はジッとこちらを見ている。
正確には、大きく開かれたナルトの足の付け根を。
その手には、小型のリモコンがあった。
気まぐれに指が動く度、ナルトの腰が跳ねる。
切れ切れの小さな悲鳴にも似た喘ぎ声が細く高く大蛇丸の鼓膜に響き、その劣情を煽る。
ふいに立ち上がった大蛇丸が、部屋から姿を消した。
あまりに突然のことに戸惑いながらも、奥歯を噛みしめ、大きく息を吸って…吐く。
「ん…っ」
視線で煽られた体は、いつ弾けてもおかしくなかった。
けれど、根元をしっかりと喰い締めているベルトがそれを許さない。
ともすれば暴走してしまいそうな自身の欲望を宥めながら、解放してくれる唯一の相手をジッと待つ。
「お待たせ」
声と供に、ナルトの鼻を覚えのある香りが掠めた。
香ばしく芳醇な香りは、大蛇丸が愛飲している珈琲のものだ。
それを飲みながら、ナルトの痴態を鑑賞しようというのだろうか。
そんな風に片手間みたくされたくないというのが本音だが、大蛇丸が望むのならばそれも受け入れようと思う。
だが、大蛇丸の行動はナルトの想像を越えていた。
この淫猥な空気に満ちた空間で、いつもと変わらぬ仕草でカップを口に運ぶ。
それを見つめるナルトの体内で蠢くものは、どうやら最弱に設定されなおしたようだ。
じんわりと柔肉を炙られる感覚は不快ではないが、追いつめられた体は逆に焦らされて苦痛を訴える。
幼いナルトの性器は、すでに自身から溢れた体液でぐっしょりと濡れていた。
「そうそう、ナルトくん」
その瞳をいやらしく細め、ようやく大蛇丸が口を開く。
「実は、さっき珈琲に入れるミルクが切れてることに気づいたのよね」
「え…?」
こんな時に、何を言い出すのだろうか。
第一、過ぎるほどに用意周到な大蛇丸が、そんなミスをするはずがない。
「ミルクがないの。だから…」
ナルトくんのミルクをちょうだい………?
唇だけで囁かれたあまりにも卑猥な言葉に、ビクリとナルトの体が跳ねる。
「コレ、外したら、すぐに出ちゃうかしら…」
クスッと笑いながら、ナルトの絶頂を長く阻み続けているベルトを指で辿る。
「んんんっっ!」
敏感に反応したナルトに満足しながら、大蛇丸は涙を溢れさせている先端に舌を当てたまま、その戒めを解いた。
だが、堰き止められ続けた絶頂は簡単には解放されない。
「あ…なん………っ?」
すぐにでも達してしまいたいのにそれが叶わず、ナルト自身戸惑う。
「あら。…ふふふ、ちょっと焦らしすぎたかしらね」
根元から先端までをゆっくりと舐め上げながら大蛇丸がその口元に薄く笑みを浮かべた。
「じゃあ、ちょっと手伝ってあげましようか」
そう言い、震える小さなモノを大蛇丸がゆっくりとその口内に飲み込む。
「ふゃっ、やああぁぁ………っ!」
きつく吸い上げられ、意識の追いつかぬままに絶頂へと突き落とさされた。
己の口の中に吐き出された少量のそれを味わうようにして飲み込み、大蛇丸が顔を上げる。
うつろに瞳を開けたまま、唐突すぎた絶頂感に沈んでいるナルトを抱きしめて、そっと口づけた。
その仕草は、まるで神聖な儀式を思わせるほどに優しく、空を彷徨っていたナルトの意識を引き戻す。
「あ…あ、おれ…」
目の前にある大蛇丸の瞳がいつもの優しさを湛えていることを確認して、ナルトが疲れの色濃いその顔に笑みを浮かべてみせる。
「好きよ、ナルトくん」
甘い睦言と供に与えられたキスに、そっと答えて。
「おれも…大蛇丸だけだってば………」
囁けば、遠慮がちに抱きしめられる。
大蛇丸はまだ、大切なものを手にすることに慣れていなくて。
奪わなくても与えられることに慣れていなくて。
だから、ナルトを抱く手はいつも必要以上に優しい。
それが自信のなさからくることを、ナルトは理解していた。戦場では誰よりも強く誰よりも自信に溢れている大蛇丸が、ただ自分を抱きしめるだけのことに自信を見出せないでいる事実。
それが、ナルトの胸を暖かくする。
ただそれだけで、どんな酷いをことをされても、どんな無理なことをさせられても受け入れることができる。
端から見れば、優位に立っているのは大蛇丸の方だろう。
けれど、本当はナルトの方がすべてを握っているのだ。
解放された腕で広い背中を抱き返して触れるだけのキスをすれば、泣きそうな瞳が見つめていた。
「あなたが無事で…本当に良かった………」
「…ごめんってば」
「心配させないで…」
「ごめんなさい………」
自分を失うことだけを恐れる大蛇丸に、ナルトの心は熱を増す。
こんなにも誰かに執着されたことなどなかったから。
こんなにも誰かに必要とされることなどなかったから。
だからナルトは大蛇丸の全てを受け止め、赦せるのだろう。
たとえそれが、どれだけ歪んだ愛の産物だとしても。
短い逢瀬を重ねながら、それでも二人の想いは深まってゆく。
終