あのころの俺はただ傍にある日常をこれ以上ない幸福だと思っていなくて。
お前がいなくなって初めて幸福だったってことに気付くなんて……きっと遅すぎたよね。
Love Shape
俺、カカシせんせーのことこれっくらい好きだってば!!
あのころのお前にとって、精一杯の愛情表現で最高の愛の示しかただったのに、俺はお前がオトナになることだけを望んで、俺の愛の重さとか大きさとかだけを解ってもらおうとしてた。
ナルトの愛の重さとか大きさとか考えもしてなかった。
重いとか、そんな問題じゃない。俺の愛よりずっとずっと大きくて深くて俺ごと包み込んでて、そのぬるま湯の中でただゆっくりと浸かっているだけだった。愛してるとか俺の全部引っくるめて包んでいてくれた。
人殺しの俺。
血も涙もないくらい俺は人を殺してきた。
簡単に命を奪ってきた俺。
それなのに、ナルトは俺を愛してくれた。きっとナルトが持ってるだけの愛を惜しみなく注いでくれた。
ナルトの愛がかさかさになって干からびるまで。いや、干からびてもなお俺を愛してくれていた。
どんなことをしてもお前は俺だけを愛してくれていた。
わかってたはずなのに、俺はナルトの愛の重さなんて、全然考えてなかったよ。
俺の考えだけ押しつけて、俺だけが潤される世界。
今、俺の中にあるのはナルトがいない世界で干からびた心のかけらだけ。
もう、会いに逝ってもいい?
耐えられない。
からからに渇いてるんだ。
抱き締めたい、キスをして愛してると言いたい。
今度はお前の渇きを癒してあげたい。
オマエは俺を置いて逝って満足かもしれないけど。
俺が生きていることが満足かもしれないけど。
俺はもう我慢できないんだ。
ナルトがいない世界なんて耐えられない。オマエの傍にいつまででもいたい。
オマエがいないと、俺はもう渇きをいやすこともできないんだ。
震える手を、止めることができないんだ。
例え君が…
俺が傍に来たことを怒っても。
君が悲しんでも。
俺は自分のとおり逝くから。
君の考えなんて聞いてあげない。
俺は自分の考えた通りにしか生きれないから。
君を振り回しても。
君を傷つけても。
君を…
堕としても。
きっと。
俺は君よりも卑怯で重い愛だから。
君の愛がどんなに深くても…。
オマエの言うことは聞けないよ。
『死なないで、生きて』
そんな約束が守れた場所は……君の生きた世界だけ。
子供でもいい。
大人げないと笑ってくれてもいい。
さぁ。
君に逢いに逝こう。
愛を囁くから。
それで許してくれるよね?
君は苦笑しながら俺を抱き締めて。
「…カカシせんせー、大好き!」
そう言ってくれるんだ。
それが俺の望んだ答え。
『ごーかっくvv』
きっと俺はそう君に返すから…
好きだと囁いて……笑って。
終