あたたかな午後の日差しを浴びながら、子供を膝のうえに乗せてゆっくりと過ごす任務の休憩時間。
子供はサスケがあーだとかイルカがどうしたとかカカシにとってはどうでもいい(強調)ことをたいていいつも話しているのだけど、今日は少し意外な質問をしてきた。
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「カカシせんせーに聞きたいことあるんだってば」
「んー?なにかな~?術教えてとか以外ならなんでも教えてやるぞ?」
カカシを背もたれにしていたナルトはくるっとカカシと対面するように向き直ると、じい~っとカカシの顔を見つめた。
大きな青い目で見つめられると、らしくもなく胸が高鳴る。ナルトの青い瞳に自分だけが映ってると嬉しくてどうにかなってしまいそうだ。
「なに…?俺ってそんな実とれるくらいイイ男?」
冗談めかして言うカカシにナルトはぽっと顔を赤らめて俯いた。
「うん……カカシせんせーかっこいいってば」
照れながらナルトはやっぱり俯きながらカカシに告げた。
素直なナルトの言葉に一瞬自分も照れてしまう。
「…俺さ、カカシせんせーのこと、こん……っくらい好きだってば!」
両手を大きく広げてバタバタさせながらナルトは円を描く。
やっぱりナルトの顔は真っ赤で。
「…カカシせんせーは??」
上目づかいに聞いてくるナルトがどうしようもなく愛しくて。
食べちゃいたいくらい、とか不埒なことを考えながらにっこりとカカシは笑った。
「…俺もこのくらいナルトが好きだよ」
両手を伸ばしてカカシはナルトと同じように円を描いた。自分がこんなことをするなんて思ってもいなかった。ナルトと一緒にいると自分の胸の中はこんなにも穏やかで、暖かい。幸せだと確かに感じる。
「…俺の好きのほうが大きいみたいだね」
それはナルトとカカシのリーチの差で、ナルトはなんだか悔しくなった。自分のほうがカカシのことを好きだと言いたくなって。
「俺ってば、本当は里の広さくらいカカシせんせーこと好きだってばよ!!」
悔しそうに胸を張って言うナルトがまた可愛らしくて、カカシは目を細めた。
「俺だって本当は宇宙の広さくらいナルトのコト、好きだぞ?」
にっこりとカカシは微笑んだ。
負けず嫌いはお互い様らしい。
「ん~でもぜっったい俺のほうがカカシせんせーのこと好きだってば!!」
膨れっ面になってナルトは抗議する。
「ナルト、腕を大きく広げてみて?」
いきなりのカカシの言葉にナルトは首を傾げながらも腕を大きく広げた。
すると、カカシも腕を大きく広げる。
「俺のほうが大人だから腕の長さは俺のほうが大きいデショ?」
カカシの言葉にナルトはこくりと頷く。
「だからさ、ナルトが俺を好きって気持ちより、俺がナルトを好きっていう気持ちのほうが大きいんだよ?」
「なんか…そーいうのってズルイってば…。カカシせんせーはオトナだから大っきいのは当たり前だってばよ!」
納得出来ないナルトはやはり悔しそうだ。なんだか自分が負けたようで。
「だから、早くナルトも大人になんなさいね」
自分の好きの大きさも重さも受け止めきれるくらいに。
「そしたら、俺達もっとラブラブになれるデショ?」
にっこりと笑ってカカシはナルトの顔を覗き込む。
「うんっっ!俺もっとおっきくなるってば!」
カカシの言葉にナルトも最上級の笑顔で返したのだった。
今のままでも、ナルトが大きくなってもきっと自分の愛のほうが大きくて重いけど。
ありのままのの俺を愛してくれようとするナルトをいつまでも愛してるよ…。
終