セブン



ナルト……7つだけ、約束をしよう。









俺だけだって、誓って?それがまず一つ目。

罪を感じて懺悔をして?それが、二つ目。

蹴られても、殴られても、抵抗しないで?それが三つ目。

泣いて許しを請うて?それが、四つ目。

そして、言い訳をして?それが五つ目。

次はね、いつものように甘えてみて。コレが、六つ目。









 それができないのならここで今死んで見せて。それが7つ目の約束。













 セブン













 せんせーの、目に見える憎しみと、愛が嬉しくて、嬉しくてたまらない。

 カカシせんせーと付き合いだして、約束させられた7つのこと。



 カカシせんせーだけだと誓うよ。

 コレは、俺にとっては当たり前のこと。アナタしか愛さない。愛せない。

 だから、せんせーも俺だけだって誓って。

 

 12年まえのこと罪を感じて懺悔をするよ。

 俺のお腹に封じられた、九尾の狐。アイツの罪は俺の罪。どれだけだって、懺悔するよ。

 だから、せんせーはもっと俺のこと、憎んで。俺が罪の意識に耐えられなくなるくらい。



 蹴られても、殴られても抵抗なんてしないよ。

 それが、カカシせんせーの過剰で異常な愛情表現。俺の存在を認めてくれていると言うこと。

 だから、もっと愛して。俺の存在を愛して。



 泣いて許しを乞うよ。

 俺の罪は、涙なんかでそう簡単に洗い流せるとは思わないけれど。

 だから、カカシせんせーはその胸を貸して。少しの間で良いから。



 言い訳だって、たくさんするよ。

 俺は、九尾の器で、九尾じゃないんだって。俺が悪いんじゃないんだって。「仕方ないこと」なんだって

 だから、カカシせんせーは嘘でも良いから慰めて。



 たくさん、甘えさせて。

 解けて俺の存在が無くなるくらい、たくさんたくさん甘えさせて。

 だから、カカシせんせーは俺の居場所を作って甘やかして。











 もし、それができないのなら、アナタの目の前で死んでみせるから。









「・・・・っく・・・・ナルト・・・・」

 ぎしぎしと、軋むベット。金色の髪をした少年を組み伏せているのは黒い髪の少年 ―――――サスケ。  金色の髪の少年は涙の跡を頬に残し、ただ、相手が満足するのを待つだけ。いつの間にか、意識を遠のかせていた。







 「アナタだけ」だと誓ったのに。







 俺が出来ることは、罪悪感に耐えながらアナタを愛し続けることだけ。

 本当に出来るのか、それは解らない。





「ねぇ…ナルト…サスケと、寝たってホント?」

 

 いきなり突きつけられた、アナタからの死刑宣告。

 俺は、今どんな顔をしているのかな?

 片目しか見えないあなたの瞳は、嫉妬の炎が燃えていて。



 なんて心地よいんだろうと、思った。



 最後に………あの7つの約束を、アナタの口から聞かせてください。



 ナルトは、カカシの言葉に小さく頷いた。

 その途端、カカシは大股でナルトのそばに近づいてくる。

 そっとナルトは目を閉じた。きっと殴られるのだろうと思ったからだ。

「………?」

 だけど、いつまでたってもその衝撃は襲ってこなかった。

 そっと目を開けると、カカシは辛そうになるとの顔を見つめていた。

「ナルト……」

 続いた沈黙についにカカシが口を開く。

「……俺だけだって、誓って?」

 いつものカカシの言葉にナルトはホッと息をつく、そして、カカシの言葉に頷いた。

「罪を感じて…俺に懺悔して?」

 当然、罪を感じてるに決まってる。

「これからお前を殴っちゃうけど、抵抗しないで?」

 喜んで、罰を受けるよ。

「泣いて、俺に許してって言って?」

 それで、アナタが許してくれるのならば。いくらでも泣き叫ぶよ。

「それから言い訳をして…?」

 アナタ以外に抱かれたくなかったよ……。

「次は……いつもみたいに、甘えて見せて…?」

 ………。





 ごめんね、カカシせんせー。

 もう、それだけは出来ないんだ………。

 



 どれだけ誓って見せても、

 どれだけ懺悔をしても、

 どれだけアナタから暴力を加えられても

 どれだけ泣いても

 どれだけ言い訳をしても

 



 許されないでしょう?

 いつものように甘えてみせてって、そんな残酷なことを言わないで。



 5つ目までの約束は、どんなことをしても守りましょう。





 けれど



 6つ目の約束を守るコトなんてできやしない。









 だから ―――――













 7つ目の約束を、果たしましょう







 ナルトは素早くクナイを首にあてがった。







 微笑みながらナルトは、クナイを首に沈めた。何度も、何度も、何度も。

 そのシーンを、カカシは呆然と眺めるだけだった。



 ふらりと、ナルトの体が傾いたとき、カカシは我に返った。

「……ナルト!!!」

 地面にナルトが倒れる前に抱きとめた。

 ナルトの周りは、もうナルトが流した血が水たまりのようになっていて。もちろん、ナルト自身も赤く濡れていた。

「……七つめの…約束……守ったってば……っっ…よ…?」

 ゴフッ……と口から赤い血を流しながら、ナルトは微笑んだ。

「どうして……どうして!!」

 ナルトを抱きしめるカカシの手は震えている。かくん、とナルトの体から力が抜け落ちた。カカシを見つめていた青い目は、もう、何も映していない。



「約束なんて、守ってくれなくて、良かったよ…?」

  

 俺だけだと誓って

 

 それが、気休めにしかならないって分かっているけどお前のその言葉だけで安心できたから…。



 罪を感じて懺悔をして



 お前が謝れば、俺は鈍なことだって許せるよ…?



 蹴られても、殴られても抵抗しないで



 この約束にも何とも思わない、お前が怖かった。殴ってるとき、俺がどんな気持ちだったか分かってるの?



 泣いて許しを請うて



 お前の涙を見れるのが、俺だけだって思ったら嬉しくて、嬉しくて壊れてしまいそうだった…。



 それから、言い訳をして



 俺は、お前のどんな言葉でも信じるから…信じるから…。



 次はいつものように甘えてみて



 この瞬間がね…一番、幸せだったよ……?









 6つの約束を守れないなら、死んで、なんて言わなければ良かった…。

 つなぎ止めておきたかった。もし、ナルトが心変わりしたらって…そう思うだけで…全身のふるえが止まらなくて…いつか…この手で引きちぎってしまいそうだった…。







 お前はサ、俺のことを本当に愛していてくれたんだね…。









 自分の命も絶ってしまえるほど……。







 赤い血溜まりの中に、ぽたぽたと透明の雫が波紋をつくった。

動かない愛しい子供を抱きしめて…








死にネタ注意。        
         


元ネタはジャンヌの7-seven-より。
散々酷いことしときながら甘えて見せてっていうのが萌え。
けど約束7つは多すぎると思う。

2002/10/24