それは、晴れ渡る日曜日のこと。
珍しくカカシは早起きをした。
カレンダーを見てにまりと顔が弛む。
今日は待ちに待った愛しいアノ子との久方ぶりのデートの日。
ここしばらく任務が忙しくて二人きりでゆっくり会うこともできなかった。
ナルトが初めて誘ってくれたデートなものだから、嬉しくていつもより何倍も早い時間に起きてしまっているカカシだった。
約束の時間は10時にいつものところ。
まだ3時間もあるのに、カカシはいそいそと着替えて家をあとにした。
どこに行くかというと、それは愛しいアノ子 ――――― ナルトの家。
きっとまだ眠っているだろう、とカカシは寝顔を堪能しようと勇み足で出かけていった。
ナルトの家に着くやいなや、そおっととドアを開けて忍び込む。
不用心にもナルトのドアの鍵は開きっぱなしだった。もしや、と思いカカシはナルトのベットの傍にある窓に手を伸ばすとカラカラ・・・・と乾いた音を立ててあっさりと開いた。
不用心だなぁ・・・・。これからはナルトが寝た後に点検に来よう・・・。むしろ、一緒に住んじゃおっかなぁ~v
にまにまと、気色悪い笑顔を浮かべながら、カカシは同棲生活のことを頭の中で思い描いていた。
「う・・・ん・・・」
開け放たれた窓から風が入ってきて寒いのか、ナルトは少し身を小さくした。
カカシは慌てて扉を閉める。
けれど、ナルトを起こさないように静かに。
もそり、とナルトが寝返りを打った。
その顔には笑顔が浮かんでいる。
寝てるときも笑ってるんだネ・・・
どんな夢見てるの?
俺の夢だったら嬉しいな
カカシはナルトの顔をのぞき込むように身を屈めた。
アレ?と気が付くことがある。
涙のアト・・・・・?
微かにだがナルトの頬には乾いた涙のアトがあった。
そっと指で頬を撫でる。
「ん~・・・・」
カカシの手を嫌がるように、眉間にしわが寄るとナルトは反対の方向へとまた寝返りを打った。
少しむっとしつつも、カカシはナルトの頭をそっと撫でる。
どうして泣いたの?
怖い夢でも見たの?
もし怖い夢を見たのなら、夢の中で俺を呼んで
そうしたら、夢の中だってどこだって必ず
迎えに行ってあげるから
ちゅっと軽い音を立てて、ナルトのオデコにキスを落とした。
そうするとナルトの顔に安心したかのように笑顔が広がった。
その顔をずっと眺めていると、ナルトはときどき笑い声を漏らした。
眺めていて数分後、早起きした反動か眠気が襲ってきた。
時間を確認するとまだ8時20分。
大きなあくびをすると、
「ん・・・カカシせんせー・・・」
というナルトの声が聞こえた。
起きたのかな?
と思ってカカシはナルトに目を向けるが、まだすぅすぅ寝息を立てている。
そんなナルトを見てカカシは嬉しそうに目を細めた。
夢の中の俺とナルトは何をしているの?
もし未来の夢を見ていて、俺とナルトが一緒過ごしているのなら
それはきっと現実にだから
ずっと傍にいるよ
ごそごそと、カカシはナルトを起こさないようにナルトのベットに潜り込んだ。
ナルトを包み込むように手を広げて、寝ようとしたときに、カカシは何かを思いだしたかのようにむくり、と起きあがった。
カカシはナルトを見つめてから、今度は唇に軽くキスを落とした。
「おやすみのキスv」
にっこりと、満足そうに笑ってからカカシはころんとベットに横になった。
ナルトの頬が少し赤く染まったことに気が付かない振りをして。
スースー、とカカシの寝息が聞こえてきたと思ったら、横に寝ていたナルトがむくり、と身を起こした。
「あんなにベタベタ触られれば、俺だって起きるってばよ・・・」
ポツリ、と呟いてナルトはカカシの方を見た。
そして、さっきの仕返し、とばかりにカカシの唇にキスを落とす。
唇を離したあと、ナルトは照れくさそうに笑ってからカカシの胸に顔を埋めて横になった。
カカシせんせーのにおいだ・・・・・
そうしてまたナルトは眠りに落ちた。
横で狸寝入りしていたカカシに気が付かずに。
ナルトが眠ったのを確認してからカカシは自分のポケットを探り、銀色の指輪をそっとナルトの薬指にはめる。
その手にちゅっと口づけてから、カカシはナルトを抱きしめて眠りについた。
夜が来ても
朝が来ても
ここにいるから
目が覚めたら、君の見た夢を教えて ―――――
終