「せんせーは、俺とエッチしないの?」
「は?」
いきなりのナルトの質問にカカシは間抜けなくらいの声を出した。
したくないと言えば、それは嘘になる。だけど、ナルトの気持ちがはっきり自分に向くまで抱かないでおこうと思っていたからだ。
「いきなりなに言ってるの?ナルト。俺だって健康な男だからそんなコト言うとホントに襲っちゃうヨ?」
ぽむっとナルトの頭を軽く撫でると、
「イイってばよ?」
そう言って、ナルトは目を閉じてカカシの唇にキスを落とした。
理性が、切れるのはそう短い時間ではなかった。
カカシは小さな身体を抱え、ベットになるとをおろすと、ナルトの服を脱がせた。
「ナルトも、俺の服脱がせてくれる?」
カカシがそう言うとナルトはコクリ、と頷いて震える指でカカシの服に手をかけた。
「・・・やっぱり、やめようか?震えてるヨ?」
本当は、やめる気なんて更々なかった。
そして、ナルトは案の定首を振る。
だけど、その小さな手は震えているままで、それでも、ナルトはカカシの服を脱がした。
「もう、止められないぞ?」
止める気もないくせに。
ずるい大人は、そんな言葉でナルトに覚悟を決めさせる。
誘ったのはナルト。
だから自分はこの子を抱くのだと。
そういうスタンスでいなければ、震える子どもを残酷に引き裂いてしまいそうで
。
頬に口づけることから始め、その幼い体に手を這わせる。
柔らかい肌。
その感触に、陶酔感にも似た感情が芽生える。
すべてを目の前でさらけ出させ、そのすべてに口づけ、目に焼き付けたい。
この体を、幾度頭の中で汚しただろう。
白い、なめらかな手触り。
これに触れた人間が自分以外にいるのかと思うと、嫉妬で目眩がした。
これまで考えなかったわけではない。
だが、実際にナルトの体に触れたことで、その想像に吐き気を催すほどの生々し
さを感じる。
ともすれば止まりがちになる手を叱咤しながら進める行為の意味を、カカシは見
出せなくなってきていた。
「ナルト、やっぱり…」
やめよう、と言おうとした口を、柔らかななにかで塞がれた。
相手から重ねられた唇が酷く熱くて、どうしようもない戸惑いを感じる。
誘われたのは自分だけれど。
欲しがっているのもまた、自分だという自覚があったから。
「ナルト…?」
驚きと戸惑いを込めて名を呼べば、改めて唇が重ねられる。
触れては離し、離しては触れるという、まるで子どものままごとのような口づけ
を受けながら、カカシはナルトに促されるままベッドに体を沈めた。
「俺が、したいんだってば…」
誘う言葉を口にするくせに震えている子ども。
痛々しさを感じずにはいられない自分は、その手を止めようとして、失敗した。
「……してもいい?」
泣きそうに潤んだ瞳が、違う意味を孕んで自分を見ていた。
こんな眼をして自分の上に乗ってくる女を何人も見たことがある。
その時は、ただ面倒だと思っただけだった。
けれど今、その瞳にたまらなく欲情させられるのは、何故なのか。
「…いいよ」
気づけばそう、口にしていた。
「していいよ。ナルトの好きなようにしていいんだ」
自分の胸に頬を擦り寄せる子どもの欲望の濃さに驚きながらも、肌と同じように
柔らかい、異なった手触りを持つ髪を撫でる。
どうするのかと思っていたら、ナルトは直接カカシの股間に顔を埋めた。
「ちょっ、ナル…っ!」
暖かく滑る感覚に押し包まれる。
止めようとした手が、空で止まった。
口を離したナルトが顔をあげたからだ。
「こんな俺は、キライ?」
先端に舌を当てながら小さく囁かれて、そうだという答えを出せない。
好きにして良いと言ったのは自分なのだ。
結局、「そんなことはないよ」と答えて。
「まさか、そこにいくとは思ってなかったからびっくりしただけだから」
と続ける。
そうすると、安心したように少し笑みを浮かべて、改めて口に含む。
狭い空間に飲み込まれ、蠢く暖かい肉で刺激された。
過去に何度もされた行為。
けれど、今まで経験したどんな女のソレよりも、ナルトがしてくれるという事実
だけでカカシを煽る。
実際、ナルトのそれは慣れぬ稚拙さに満ちていたけれど、慈しむような丁寧さが
あり、それだけで胸を熱くするものだった。
時折息苦しそうに顔をあげては、再び沈めることをする子どもの髪を優しく撫で
、その表情に見惚れる。
ふいに視線をあげと、おいしそうな丸みがカカシを誘っていた。
子どもが頭を動かす度に揺れる双丘をしばらくは眼で楽しみ、そして手を伸ばす
。
「ふぁっ…あっ、や………っ」
無防備だった肉を割られ、体内に入り込んでくる感覚がナルトの手を止める。
「いや?」
囁かれた言葉に、ナルトは慌てて首を振った。
「やじゃ………ない」
呟いて、後は口を自ら塞ぐ。
再開された愛撫に、カカシも指を動かし始めた。
狭く、柔らかい肉の狭間…。
ナルトに見えないところで潤滑油を使い、丹念に慣らしていく。
軽く出し入れを繰り返していると、じれたようにナルトから腰を突き出してきた
。
「いやらしいね…っ!」
空いた手で頬を撫でながら囁くと、仕返しとばかりに歯を立てられる。
一瞬息を飲んだが、やられっぱなしは性に合わない。
二本を根元まで挿入し、中で開く。
「…っ!」
そのまま、三本目を差し入れた。
「ん………っ」
きついのか、それまではずっと動いていた舌が止まる。
「はぁ…っ、あ………っ」
肉塊を飲み込んでいた唇が、喘ぐために解放された瞬間を狙って口づけた。
甘い声を奪い取り、主導権を取り戻す。
口づけたまま手触りの良い少し細すぎる太股を引き寄せ、大きく足を左右に開か
せた。
仰向く体勢での口づけが苦しいのは分かっていたが決して離すことはず、双丘の
狭間へとナルト自身が育て上げた欲望を埋めていく。
狭い…。
「…っ!…っ、……っ!!」
唇を塞がれて、声を出せずにいるナルトが、カカシの肩に爪を立てた。
腰を抱き寄せ、結合部を密着させる。
それがナルトの体に多大な負担をかけることを知っていても、そうせずにはいら
れなかった。
もっと奥へ、深く…誰も入り込んだことのない場所まで、自分を受け入れて欲し
かった。
「…っは、あ…っ!」
あまりの衝撃に、ナルトは瞳を見開いたまま呼吸すらも忘れたように震えている
。
「全部…入った」
腰を撫でてやりながら、囁く。
深くまで貫かれているせいで、ナルトはまともに答えられない。
腹部がずっしりと重く、下腹にギッチリと詰まっている感じがする。
体内の殆どをカカシに占領された感覚から、まともに息も出来ない。
「ごめんね、キツイね」
「ひぃあ…っ!」
一度に半ばほどまで抜かれ、悲鳴を上げた。
甲高い悲鳴は、心地よくカカシの耳を貫く。
それが苦痛からではなく、快楽からのものだったからだ。
幼いからだに似合わぬ濃厚な欲望をその声から感じ取り、カカシの体はますます
熱くなってゆく。
「動くよ?」
「ふっ・・・っっあっ・・・」
カカシはナルトを抱きかかえて、激しい注挿を繰り返した。
「あ、あっっ・・・・せん・・せ・・・も・・っダメッっ・・・!!」
せっぱ詰まったナルトの声に、カカシはその動きを止めた。
「キツイか?」
「ち、違うんだってば・・・・へ、変になるくらい、声、出しても・・・イイ?」
カカシが頷く前に、ナルトは自ら動き出した。
肩にてをかけ、ぎこちない動きではあるが、ナルトは徐々にその動きを早めていった。
「ふっ・・・はっっ・・あ・・・はんっっ!・・・・あっ・・・ああっ・・・」
ナルトの声が一オクターブ上がったとき、カカシが激しく下から突き上げた。
「こうすると、もっとイイデショ?」
カカシは激しくナルトを攻め立てた。ゆっくりと円を描くように腰を回したり、ギリギリまで引き抜いては一気に突き上げたりと。
そのたびに、ナルトの口からは艶めかしい喘ぎ声が漏れた。
「もう、イッちゃう?」
いったん動きを止め、ナルトに確認するかのように聞いた。
すでにナルトが限界だということはわかっていた。
だけど、わざとじらすような真似をしたのは、本当にナルトが求めているのは自分なのだろうか、と不安に思ったからだ。
「カカ・・シせん・・・せ・・・・・も・・イカ・・・せてぇ・・・」
再びカカシが動き出すと、ナルトは微笑んだ。
でも、どうして、泣いているように笑うの?
俺がサスケじゃないから・・・?
あのときに違う言葉でナルトを救えてたら、色鮮やかな花が咲いた?
向日葵のような笑顔で、笑っていた?
初めてナルトを抱いてから、少しずつだけど二人きりのとき昔のような笑顔を見せてくれるようになった。
だけど、ナルトがそんな笑顔を見せてくれるたびに、罪悪感が疼く気がした。
ナルトとサスケが別れるような原因を作ったのは自分のようなものだったから。
サスケに、家の復興のこと、兄への復讐のこと。ナルトが邪魔になるんじゃないかと吹き込んだのは自分だったから。
初めは冗談で。
だけど、だんだんサスケが悩むようになってから気が変わった。
お前は、いつかナルトを捨てるときが来る。
お前は、いつかナルトを苦しめるときが来る。
だから、ナルトはオレがもらうよ?
そして、案の定サスケはナルトをあっさりと切り捨てた。
それもアノ子が一番傷つく言葉で。
邪魔になるから
なんにもなかったことにしよう
ナルトにとっては何もなかったフリをすることは簡単だったかもしれない。
だけど、その影でアノ子がどれだけ泣いただろう。
どれだけ苦しんだだろう。
任務中はこれ異常ないくらい明るく振る舞って。バカやって。
見ているこっちが痛々しいくらいに。
「ナルト・・・・」
気が付くとポツリとカカシはナルトの名前を漏らしていた。
ここまで自分が誰かに執着したことはなかったかもしれない。
そして、誰かに笑っていて欲しいと、幸せになって欲しいと思ったことも、なかった。
カカシは常にナルトを目で追っていた。
そんなときに、ナルトに絡みつく視線に気が付いた。本を読んでいる振りをしながらちらりと目だけを動かすと、その視線の主は、サスケ。
気に入らないと思いつつも、それを自分が咎めることはできない。
いくらサスケから別れを告げたのだとしても、その原因を作ったのは自分であって。罪悪感はぬぐい去ることはできなかった。
もし、今サスケがナルトにやり直そうといえば、もしかしたらナルトは自分の側からいなくなるのではないだろうか・・・そういった思いもなくはなかった。
もしかしたら、自分が一番子供なのかもしれないとカカシは思った。
ナルトを縛り付けて、どこにも行けないよう。
ナルトを閉じ込めて、誰の目にも触れさせないよう。
光さえ射し込まないところに押し込めて、自分以外のなにも視界に入れさせない。
ふと、ときどきそんなことを思いつく。
自分がしたことは、きっとそのうちサスケの口からナルトに伝わるだろう。
それで離れていく。
サスケのところに戻ってしまう。
だけどそれは―――――ナルトが選ぶことだから。
続