アイスキャンディーはいかが?



「何でも好きなの選んで良いぞ~」

「カカシせんせーありがとーってばよv」

 にこにこ・・・。

 ナルトは上機嫌で店先においてあるアイスボックスからアイスキャンディーを選んでいた。

今日は秋にしては暑い日だったのでカカシが7班全員にアイスキャンディーを奢ってやると言いだしたのだった。 

 それはもちろん、下心という素敵な言葉を携えて。

 

 お礼はイイヨ。身体で払ってもらうからサ。



 などと不埒なことを考えつつ、笑顔でアイスキャンディーを選ぶナルトに見入ってた。

 その愛くるしい笑顔といったら、鼻血を吹きそうなほど可愛かった。

 そこは確かに上忍ということで何とか耐えたが、サスケなどはときおり、首の後ろをとんとんっと叩いていた。

 そんな様子を見ながら、まだまだ青いネェ・・・と思いつつナルトににやけた視線を送った。

「クソエロ外忍」

 ポツリ、とサスケが自分に向けて漏らした言葉ももちろん聞こえなかったわけではないが、言い合いになるとまたナルトに怒られるからだ。

 せんせーってば大人げないってばよ!!

 と、あながちサスケを庇ったように聞こえなくもない言葉は深くカカシの心に突き刺さる。そして、そのときのサスケ顔ったら・・・!!本当に、うちは一族根絶やしちゃうよvって思うくらい憎っっったらしいモノだ。

「よー、なにやってんだ?ナルト」

 ふと、呼ばれた声にナルトはアイスボックスから顔を上げて振り返った。

 そこには8班の面々が。

 キバは赤丸を頭に乗せ、ヒナタは少し顔を赤らめて、シノは相変わらず無表情で、紅はナルトの愛らしさに目を細めていた。

「カカシせんせーがアイス奢ってくれるんだってばよv」

 極上の笑顔でナルトは答える。と、そこに、うずくまっている男が二人。なにやら鼻を押さえてもがいている。言わずとしれた写輪眼たち。

「へ~ぇ・・・カカシ、あたしたちにも奢りなさいよ」

 カカシが立ち直ったころ、紅がカカシに持ちかける。

「えぇ~?」

 明らかに不満そうな声。



 なんでナルトでもないオマエらに奢らないといけないのサ。サスケたちに奢るのはナルトの手前もあるからダヨ。



 と、紅に向ける視線が如実に物語っていた。

「紅せんせーの分はオレが奢るってばよ!!この前ジュース奢ってくれたしさーオレあんなトコは行ったことないから、ドキドキしちゃったってばよー。キバたちの分はかかしせんせーが奢ってやってくれってばよ」

 あんなトコ・・・・?

 どんなところなんだ!!ナルト!!

「紅・・・?」

 ナルトの発言した「あんなトコ」がとても記になって仕方がない様子の面々(サクラ以外)カカシはことと次第によっちゃ、捌くよ?とまたしても目が語っていた。

「喫茶店よ。アンタじゃあるまいし・・・」

 イカガワシイところになんて連れ込むワケないでしょう。

 と、ポツリとカカシにだけに聞こえるように紅は言った。

「なぁんだ~v喫茶店かぁ」

 あからさまにほっとしたカカシたち。

 無愛想なサスケも、

 いつも騒いでばかりのキバも

 おろおろしながら成り行きを見守っていたヒナタも、

 無表情に色眼鏡の下から様子をうかがっていたシノでさえも、

 ほっと胸をなで下ろした。

 なぜならナルトをだましていかがわしいところに連れて行くなんて紅には朝飯前だろうから。(失礼ねっ!!)

「ナルト君、カカシが奢ってくれるから良いんですってv今度また一緒にお出かけしましょうねv」

 それとなく、紅はナルトに次の約束を取り付ける。ナルトも笑顔で「わかったってばよ!!」と元気に返事をした。

 びしびしと殺気が紅に突き刺さる。

「カカシせんせーやさしいってばよ~」

 ナルトにそうにっこりと笑いかけられれば「奢りません」とは言えない。カカシは仕方なしに、というか、少々投げやりに「好きなもん選んでイイよ~」と言葉にする。

「俺たちにも奢ってくれるって?わりぃな、カカシ」

 どんっとナルトの後ろに洗われたのは10班担任のアスマ。その後ろには、いの、シカマル、チョウジと行儀良く並んでいる。

「うわぁっ!!アクマせんせーだってばよ!!」

「あ?俺の名前はアスマだっつーの」

 ぴんっとナルトのおでこを弾いた。

 ナルトはおでこをさすりながら、

「だってさーカカシせんせーがこの前、『アスマは本当は熊なんダヨ?ホントはアクマって名前だけどそれじゃ正体ばれちゃうデショ?食べられちゃうからアスマには近づいちゃダメだよ』って・・・」



 熊・・・・!!



 自分の外見がそうだということはわかっていたが・・・。ナルトの方にさりげなく回してある腕にぎゅっと力を入れてアスマはナルトが逃げないようにした。

 額にはさりげなく青筋が浮かんでいる。

「ほぉ・・・後で詳しく話を聞かせてもらおうじゃネェか、カカシ・・・あのな、ナルト・・オレはちゃんとした人間だから、そんなにビクビクすんな。それに、悪魔ならならおめぇのすぐ近くにいるからそっちに気をつけた方がいいぞ(違う意味で)食われるからな」

 きょとん、といった感じでナルトは首をかしげた。

 悪魔が誰かということが誰のことだかはわからなかったらしい。その悪魔といえば、眠そうな目でアスマに殺気を送っていた。

「・・・え?ンじゃオレ・・・」

「カカシに騙されたんだ」

 騙された・・・・。

「ムッキー!!カカシせんせーなんか、大ッキライだってばよ!!!」

 大ッキライだってばよ~・・・

 大ッキライだってばよ~・・・・・・

 がーん・・・!!

 ナルトの「大ッキライだってばよ!」がカカシの頭の中でエコーする。落ち込んでいくカカシを見てサスケたちは



 ハッ・・・ザマァ見ろ



 と内心ほくそ笑まずにはいられない。

「オイ、おめぇらカカシのおごりだから遠慮なく食え」

 と、アスマはくるりと後ろを振り向きつつ可愛い10班の生徒たちに告げた。

 いのたちは嬉しそうにアイスボックスへと駆け寄った。

「オイ、ドベ。溶けるぞ」

 アイスを持ったままナルトはまだぶつぶつカカシへ文句を言っていた。

「うわっっ・・・食うってばよ・・・サスケのは何味だってば?」

「適当に選んだからわからん」

 と、超素っ気ない返事を返す。ナルトは「ふ~ん」という答えを返すと、ぺろぺろとアイスを舐め始めた。

 しかし、そのナルトがアイスを舐める様に釘付けなのが男性陣。この前のように醜態をさらすわけにはいかない、と決意してナルトを見ていたのだが・・・そんなナルトを見てうっと詰まる。

 

 オイオイ・・・なんつー舐め方すんだ・・・ナルト・・・。



 ナルトの選んだアイスキャンディーはオレンジ。色といい形といい・・・。あるモノを彷彿とさせる。

 ソレをナルトが小さな口を開けてぺろぺろと舐めているだけなのだが・・・どうも男性陣によると、ナルトの舐め方に問題があるらしい。

 ナルトは先端を舐めたり、思い出したかのように下から上まで舐めあげたりするのだが、その行為が、どうも男心を刺激するようで(男心と言うより、そりゃオマエらの欲望だろ・・・)心臓に悪い(というか下半身に悪い)のだ。

 じぃ~・・・・っとナルトは視線を感じたのか、ふっと目だけを周囲に向けると、食い入るように見られていることに気が付く。

「何だってば?やんないからなっっ!!」

 

 イヤ、ぜひともやってほしい・・・!



 ナニを、というのは問わないでおくが、男性陣の心の叫びは一致した。こういうときだけ気が合う男ども。

 純粋、というか、少々鈍いナルトはそんな心情は全くわかっていなかった。










「ナ・ル・ト君v」

 いきなりナルトを抱きかかえるかのように現れたのは、年齢不詳(私見)の伝説の三忍の一人、そして音隠れの里の首領の大蛇丸だった。

 そして長い舌でぺろりんとナルトの首筋を舐めた。  



 どこからわいたんだ!!テメェはっ!!



 その場にいた全ての人間がそう思わずにはいられなかった。

 ・・・・・ナルトを除いて・・・・。

「ひゃっ・・・びっくりしたってばよ・・・大蛇丸・・・?」

「うふふv当たりvさすがね、ナルト君」

 大蛇丸はぎゅっと力を入れナルトを抱きしめた。



 流石もクソも、そのカマ語と気色ワリィ現れ方はテメェしかいねぇだろ!

 っていうか、誰に断ってナルトを舐めてんだ、変態蛇野郎っっ!!



「も~・・・!!なんだってばよ~!!ばっちいってば、舐めるなってばよ!」

 ごしごしとナルトは大蛇丸に舐められたところをこすった。

 そんなナルトの行動に少々傷ついている大蛇丸様。それでもナルトを抱きしめる力を緩めたりはしなかった。



 へっっ、ザマァ。



 木の葉の忍び一同、心の中で大蛇丸を笑う。

「アナタたち、後で覚えてらっしゃい」

 まるで心を読んだかのように、ナルトを抱きしめたまま大蛇丸はカカシたちに向けて言い放った。

 ふとそこで、サスケは何かにはっとしたかのように辺りを見回す。

(このパターンで行くと・・・・)

 きょろきょろと辺りを見回すが、どこにもその姿は見えないからのでとりあえずはほっとするサスケ。

 そんな挙動不審なサスケをナルトは見とがめていた。

「サスケ?何きょろきょろしてるんだってばよ?」

「イ、イヤ・・・ちょっとな・・・」

 サスケにしては珍しく冷や汗をだらだらかきながらナルトに告げる。

 安心するにはまだ早いと言わんばかりに、サスケの心には警鐘が鳴り響いていた。

「何探しているんだ?サスケ」

 背後からの問いかけに、サスケは聞かれるまま答えてしまう。

「イヤ、あのクソ兄貴が・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ひやりとしたものがサスケの背筋をつたう。

 ぎぎぃっっ・・・・っと人形のようにぎこちない動きでサスケは後ろを振り向いた。

 振り向いた先には、にっこりとまるで最○記の八戒のように慈愛に満ちた(?)微笑みで笑っている実の兄の姿が。(ジャンル違うし・・・)

 だが内なるイタチというものがサスケにははっきりと見えている。ギラリと光る瞳の奥にその姿が見えた。



 誰がクソだって?

ただでさえ、ナルトの傍うろちょろして邪魔なのに、終いには殺すよ?



 というイタチの意識がサスケにはしっかりと伝わってきた。

 そして、ナルト以外にもその冷たい雰囲気はびしばし伝わってきたのだった。

「ははは・・・サスケ、俺のこと探してたんだろう?・・・すぐ後ろにいたのに修行が足りないんじゃないか?」

 ばしばしっ・・・とんっっ・・・・

 サワヤカにサスケの背中を叩いていたと思ったら、どさくさ紛れに手刀をサスケの首に落とす。ナルト以外はしっかりとその現場を目撃していた。

 どさっっ・・・・。

 意識を失ったサスケがその場に倒れ込んだ。

「サスケっ?!」

 いきなり倒れたサスケに、ナルトが心配そうに声を上げる。

「・・・今日は暑いからな・・・熱射病か何かで倒れたんだろう。その辺の木陰に寝かせておけばいいよ。ナルトは何にも心配しなくて良いんだよ」

 自分が気絶させておいていけしゃあしゃあとサワヤカにナルトに向かってイタチは優しく諭した。

 『その辺に捨てておけばいい』と言わなかったのは、ナルトには優しい人だと思ってもらわなくては困るからだ。

 むしろ、優しい人間は一族皆殺しになんかしないと思うぞ。



 とりあえず、邪魔者が一人減ったな。

 っていうか、遠慮せずにそのまま永遠に寝てろ



 さすがは煩悩にまみれた男性陣。サスケの心配などかけらもしていない。

 そうこうしているうちに、サクラといのが「私がサスケ君の看病するわっ!!」「アタシがするわよ!!」と言い争いながら表向き病人のサスケをがっくんがっくん揺らしていた(ひでぇ・・・)

 それにしても、いつまでたってもナルトを放そうとしない大蛇丸。もとからカチンときていたが、大蛇丸はさらに見せつけるかのようにナルトをきゅっと抱え込む。

「ナルト・・・そんな(・・・)の(・)に、いつまで抱っこされてるんだい?」

 にっこり、といったようで目はぜんっぜん笑っていない。

「うわっっ!!忘れてたってば・・・もう放せってばよ~!!大蛇丸!」 

 イタチに言われた一言ではっとしたナルトはばたばたともがいた。

 さすがにこれ以上は嫌われるかもしれないと思った大蛇丸は仕方なしにナルトに回していた腕をはずした。   

「残念vもうちょっと抱きしめていたかったんだけど」

 うふふ、と残念そうに身を屈めてナルトに言う。

 そんな大蛇丸がふっと顔を上げた瞬間、イタチと目があった。

「それにしても、そんなのってずいぶんな言いようね」

「それしか言いようがないでしょう?」

 静かに、大蛇丸vsイタチの戦いの火蓋が切って落とされようとしてた。

「・・・やっぱり、うちは一族は一度私が何であるか分かってもらわないとね・・・」

「ただの変態でしょう?」

 ぴしっと大蛇丸のこめかみに青筋が走る。

「フン、ショタコンに言われたくないわ」

 ナルトが5才の時からナルトに目を付けていたイタチ。ショタコンという言葉がざっくりと頭に刺さる。

「ヤですね、これだからとっくに三十路こえてるくせに年甲斐もなくストーカーのような真似してる人にこそ言われたくないですよ」

 再び、大蛇丸のこめかみに青筋が。

「うふふvストーカーの代名詞とまで言われているうちは一族の人間に言われたくないわよvねちっこい男は嫌われるわよ」

 

 お前が言うな



 再び、木の葉の忍び一同心の中で呟いた。この二人ののの知り合いは見ているこっちは楽しいが、いつ飛び火してくるか分かったものじゃない。

「イタチにーちゃんも大蛇丸もケンカはやめるってばよ!!」

 この二人の罵り合いの原因もナルトであるならば、この二人を止められるのもナルトただ一人であった。

 それまでいがみ合っていた二人が、ぴたりと口を閉じ、にっこりと微笑んでナルトの方を向く。

「ナルト、良い物食べてるな」

「ナルト君、良い物食べてるわね」

 一瞬と違わず同じ言葉を口にするイタチと大蛇丸。

 ハモったことに不快に感じたのか、一瞬だったが、再び鋭い殺気をお互いに浴びせあう。

「カカシせんせーが奢ってくれたんだってばよvね~vカカシせんせーv」

 先ほど大嫌いといったことも忘れ、ナルトはカカシに笑いかけた。

 しかし、今の状況でソレはヤバいだろう。

 一気に大蛇丸とイタチの矛先がカカシに向く。

 だが、そこはさすがカカシというべきか、

「大好きなナルトの頼みだからネェ~v」

 告白までして見せた。

「ふ~ん・・・・・・・・ナルト君、一口いただけないかしら?」

「うん!!イイってばよ!あっでもたくさん食べるなってばよ!」

 嫉妬と羨望の視線と殺気を浴びながら大蛇丸はナルトの持っているアイスキャンディーにかぷりと噛みついた。

 もちろん、大きな口をお開けになって。シャクっ・・と涼しげな音がしたと思うと、アイスは半分近くなくなっていた(口デカ・・・)

「あ~っっ!!」

「ゴメンナサイ、ナルト君・・・つい食べ過ぎちゃったわ・・・代わりにまた買ってくるから、許してくれるかしら?」

 つい、もなにも実は計画的犯行だったりする。

「・・・・それなら、イイってば・・・」

 食べ物につられて許すというのがまたナルトらしく・・・・大蛇丸はいそいそとアイスボックスまで買いに出かけた。背を丸めてアイスキャンディーを選んでいる。

 その姿はまるで音隠れの里の首領とは思えないほど結構マヌケだった。

 駄菓子屋のおばちゃんも、少しおびえ気味に対応している。

 ナルトは大蛇丸が食べてしまって短くなったアイスキャンディーを再び舐めていた。

「ナルト君v買ってきたわよ」

 大蛇丸が差し出したのは黄桃のアイスキャンディーは、また色といい形といい・・・・。

「ありがとうってばv大蛇丸」

 新しいアイスが来たことで、ナルトはにこにこと笑顔を振りまいた。それが、どれだけ男どもの煩悩を刺激するかも知らずに・・・。

 また、ナルトがアイスキャンディーを舐めている様子が見れると思っていた男どもは、ナルトが意外性ナンバーワン忍者だと言うことをすっかり忘れていた。シノを除いて・・・。

 ナルトと何かをするときはそれなりに心構えを作っておかなければならない、シノはこの前あったイチゴ事件のときに頑なにそう誓ったのだった。

「はい、ナルト君、あ~んv」

 ぴっとアイスキャンディーの袋を開け、うれしそうにナルトにそれを差し出した。

 大蛇丸の奇行にナルトは一瞬戸惑ったが、餌を与えられる雛鳥のごとく素直に口を開けた。

「うぐっっ・・・・」

 だが、アイスキャンディーはナルトの口には少々大きかったのか、苦しそうなうめき声を上げてナルトは大蛇丸に向かってこう言った。



「大蛇丸ぅ・・・大きすぎて、口の中に入らないってばよ・・・」



 ケホっ・・・とナルトは小さく咳き込み、辺りを見回した。 

 あたりには、しーんと静寂が支配している。

 男性陣、それぞれの頭の中ではなにやら不埒な妄想が繰り広げられていた。先ほどのナルトのセリフが(一部曲解有り)

(カカシせんせー・・・カカシせんせーの大きすぎてくちにはいらないってばよぅ・・・)

(イタチにーちゃん・・・イタチにーちゃんの大きすぎて・・・・以下同上)

(キバぁ・・・キバの・・・・略・・・)

 ・

 ・

 ・

 以下省略。

  言われた大蛇丸は大蛇丸で、固まっていた。まさか、このような不意打ちがくるとは思っていなかったから。

 それでもこの前のようにトイレにダッシュせずにすんだので、男性陣がほっと息をを吐いた次の瞬間・・・・!!!

「舐めてもイイ?」

 先ほど、アイスキャンディーが口に入り切らなくて苦しかったのか、少し目尻に涙を残し、そして、大蛇丸の視線が上から注いでいるためかナルトは上目遣いで大蛇丸を見上げていた。それはまるで、何かをおねだりしているようで・・・

 ナルトはぜったい意識していなかっただろう、その一言に、どれだけの煩悩が注ぎ込められるか・・・。

 それまで、ナルトを囲むように座っていた男たちはすくっと立ち上がると不自然に身体を屈めてあらぬ方向へ走っていった。

 いきなり走っていくカカシたちをナルトは唖然と見つめていた。いったいなにがおこったのだろうか、と。

「・・・また、カカシせんせーたち行っちゃったってばよ・・・」

 と後ろを振り向けば、シノが立っていた。

「あれ?シノは行かなくていいのか?」

 先日はシノも自分にハンカチを渡すとそそくさとどこかへ行ってしまったから、シノがいることに疑問を感じた。

「・・・・ああ・・・」

 鉄の自制心で何とか乗り切ったシノ。ヤツらが駆けていったところの想像はだいたいつく。同じ男として、それは痛いほどによく分かっていた。

「みんなが、どうしていきなりどっかに行ったか知ってるってばよ?」

 知ってるが、まさかナルトのセリフと行動から○淫しているところを想像してしまい、下半身が元気になってヌきに行きました、とはいくら恋敵でもそれをナルトに伝えるのは可哀想というものだ。下手すれば、しばらくナルトは口を利いてくれないだろう。

 武士の情け・・・と思いシノは黙って首を振ったのだった。  

 だが、しばらく考え込んだシノに、ナルトが怪しまないわけがない。

「ムッ!!知ってるのに教えないつもりだな~!!教えろってばよシノ~!!」

 ナルトはシノの袖をひっつかみ、ぐいぐいと引っ張る。

 その様子に、しばらくは教えろと迫られるだろう・・・。ここで拒否すれば、もしかしたら他のヤツらにも教えろと言い出すかもしれない。

「解った・・・とりあえず、この場を離れるぞ・・・」

 欲望にまみれたヤツらが帰ってきて、ナルトをかっさらわれないとも限らないし・・・。

 とりあえず、ゆっくり教えていけばいいか・・・(ナニを教える気?!)とシノは考え、ナルトの手を引いて歩き出した。

「教えてくれんのか?・・・シノ、大好き~v」

 大好き、その言葉を聞いてシノはほんの少し頬を染めた。

 その微妙な変化は誰にも解らなかったが。

 自分の手を引っ張るシノの手をナルトは握り返すと、

「なぁ、絶対教えてくれってばよ!!」

 ナニを教えてもらうのか、全く検討もついてないナルトは無邪気にシノ笑いかけながら、ゆっくりとその場を後にした。もちろん、サスケの容態など、全く気にせずに。

 ナルトは皆がどこかへ行ったこと聞き出すことだけに頭が回っていたのだった。。

「あ、あれ・・・?みんなどこに行っちゃったのかしら・・・・?」

 ふと、サスケ争奪戦から一段落したサクラが顔を上げると、あたりには紅とヒナタ以外はいなかった。

「・・・・トイレだろうよ」

 ひゅぅ~・・・・っとサクラといのの間を乾いた風が通り抜ける。ヒナタはぽっと顔を赤らめていた。

 どこかで見たパターンのような・・・・。

「ナルトですか?紅先生」

「ナルト君・・・・可愛い顔して割とやるわね・・・」

「ナルトの場合、意識してやってないからタチが悪いんですよ」

 こっくりと、その場にいたくの一3人は頷いた。

 そして、サスケはというと、よほど手刀の入りどころが悪かったのか、目が覚めたのは、真夜中になってのことでした・・・マル









オールキャラギャグ。
全員アホなので注意。   




シノナルテイスト目指してみました。       





2001/10/03