俺の一番大好きな人は、、葉隠れの里の上忍で、元暗部で、今は俺たちの担任のカカシせんせー。
でも、カカシせんせーは俺のことなんか好きじゃないんだ。むしろ、憎んで嫌ってるんじゃないかな?俺は、あの人の一番憎い存在。
好きな人に嫌われるっていうのは、凄く凄く悲しいってば。
だから好きになってくれなくていいから、せめて嫌いにならないで?
これ以上俺を憎まないで?
あなたのためならどんなことでもやってみせるから。
「ナルト、ちょっといい相談があるんだけどサ、イイ?」
カカシから声をかけられたナルトは、帰ろうとしていたがくるりと後ろを向いた。ちょいちょいっと手招きしているカカシの姿がナルトの青い瞳に映った。
ナルトは笑顔でカカシの元へ駆けていく。
「何だってばよー!!カカシせんせー!俺だって忙しいけどカカシせんせーの悩みを聞いてあげるってばよ!!その代わりラーメン奢ってくれる?」
カカシは、ハイハイ、と生返事を返しながらとりあえず、来なさい、とナルトを人気のないところへ連れて行った。
俺と手をつないで一緒に歩いているのは、12年前湖の里を襲った九尾。正確に言うなら入れ物だけど、俺にとっては一緒のこと。
憎んでも憎み足りない、九尾を孕んだガキ。
俺がお前のことを憎んでるなんて知らないだろう?ま、知ってようとしても別にどうでもいいけどネ。
だけど、お前は俺のこと大好きなんだよね。
どれだけ隠そうとしてもムリでしょ。俺上忍だよ?感情読むのも仕事のウチ。だからオマエが思ってること、手に取るようにわかるサ。
ま、俺はオマエのことなんか大嫌いだけどね。殺したいくらい。いつでもオマエなんか殺せるってこと忘れるなよ。
その無邪気な笑顔。それがまた一段と俺を苛立たせる。
だから、俺はその笑顔を、歪ませたくなったよ。
苦しめよ。
「で?カカシせんせー、相談って何だってばよ!!」
ナルトはカカシの手をぱっと離すとカカシの前に立ちふさがり、話を切りだした。ナルトの手とは違ってカカシの手はとても冷たかった。
それはまるで、ナルトへの気持ちを表すかのように。
「ん〜…ま、座りなさい。…ナルトは、サクラのことが好きなんだよな?」
「うん!!サクラちゃんって可愛くって優しいから大好きだってば!…たまにちょっと怖いときもあるけど…あ〜カカシせんせーの相談ってもしかして好きな人のこと?ダレダレ?紅せんせー?」
違う、とカカシは首を振った。知ってるだけの女の人の名前をナルトは挙げたが、カカシは全て違うと言い、ナルトは首をかしげた。
「じゃぁ、俺の知らない人なんだ……その人美人?」
「…確かに、美人の部類に入るんじゃないか?性格はあまり誉められたものじゃないと思うケド。ああ、大事なことを言い忘れてたけど、女の人じゃないんだよね」
ええ〜〜っ!!!ナルトはあたりに響くような大きな声で叫んだ。
「そんなに驚かなくても…恋愛に男も女も関係ないでしょ。同じ人間なんだし」
まだ瞳を見開いてナルトはカカシを見つめていた。
「えー?ダレ?アスマせんせーとか?ガイせんせーとか?あ!!いびきせんせーとか!!」
………
ついカカシは想像してしまい、自分を恨んだ。全身くまなく鳥肌が立っている。
「…そ、それはちょっと…美人だって言ったでしょ?」
「ああ、そっか…」
ん〜…とナルトは深く考え込んだ。美人美人……ぶつぶつ呟きながらそれに該当する人物を自分の知ってる人に一致させようとした。
「イルカせんせー…じゃないよね。イルカせんせーの性格が誉められたものじゃないっていうのは違うだろうし…」
再びナルトは考え込む。だけどいっこうにそれが誰だかはわからない。ふとひとり、思い当たった人物がいた。
「……サスケ………?」
「そ、でナルトが一番サスケといるみたいだから普段のサスケがどんなんなんだろうと思って聞こうと思ってサ。ま、それ以外にもあるけどさすがにナルトには教えられないよ。」
「なに?そこまでいったんだから教えてよ、せんせー」
ダメダメ、とカカシは教えられないといったようなフリを見せたが、それは演技。ナルトはそれでも食い下がった。それがカカシの狙い。
「しつこいなぁ…そんなに聞きたい?ナルトはお子サマだから、あんまりいいたくなかったんだけどね…」
カカシは目を細めてナルトを見入った。
さぁ、楽しい時間の始まり。オマエは、どれくらい俺を楽しませてくれるかな?
カカシはナルトに話し始めた。ナルトにも理解できるように。それでいてナルトが自分からやる、と言い出すように。
ナルトにとっては、とてもつらくて甘い罠。
カカシにとっては、手頃なオモチャで遊ぶような感覚。
そして、復讐。
「…だから、練習相手を探しているんだよ。…っと、ホラ、やっぱりナルトには刺激が強すぎたデショ?忘れて」
カカシに聞かされた話の内容がショックで、ナルトはしばらく呆然としていたが、やっと口を開いた。
「そういうことって、好きな人とするんじゃないの?」
「ん〜…お前たちくらいの年だとそう思うんじゃないかな?ケド、俺は大人でしょ。するときちゃんとできなかったら恥ずかしいデショ」
『そういうこと』それは男同士でのSEXのことだった。カカシは男とSEXをしたことがなく、うまくできるか不安だから練習相手を探しているとナルトに言ったのだ。
カカシせんせーがさ…サスケにそんなことするって言うのは仕方ないってばよ…。
だけど、カカシせんせーが他の人とそんなコトするのイヤダ…。
「…カカシせんせー、俺じゃダメ?」
「え?」
え?とは言いつつも、カカシは内心かかったと、心の中で舌を出した。
ナルトがこう言い出すのはカカシにとって予想ができていた。どこまでも自虐的な子供は必ずその体を差し出すと思ったからだ。
好きだから、抱いてもらえればイイと思うってヤツ?
ま、俺にとっては好都合だけどね。
だいたいさ、俺があのクソ生意気なエリート君を好きになんてなるわけないだろう?ついでに言うなら、忍に色事は必須項目だよ?だから男くらい抱いたことあるさ。っていうか、テクニシャン?
ま、せいぜいオマエで楽しませてませてもらいましょうか。
ナルトはカカシを家へと招き入れると、戸惑いがちにカカシを見上げた。
本当に、自分がこんなことをすることは許されることなのだろうかと。ナルトはとても不安に思っていた。
「ナルト…ムリなら別に大丈夫だよ?」
そんなナルトを見ていたカカシが優しげに声をかける。その声にナルトはビクッと方を震わせた。
不安をかき消すようになるとは頭を振り、きっとカカシを見据えながら叫ぶ。
「大丈夫だってば!!」
「大丈夫そうには見えないけどな〜……ナルトがムリなら他の人探すから俺は大丈夫だよ?もとから…ナルトに頼む気はなかったわけだし…」
カカシの口からは全く持って心にもないことがさも当然かのように出てくる出てくる。自分の口のうまさに改めて感心したほどだ。
ガキをひとり丸め込むのに何の苦労がいろうか。
「大丈夫だから!!……ベットは、こっちだってばよ…」
ナルトはカカシをベットへと導く。カカシに背を向けているナルトは今のカカシの表情に気が付かない。ナルトに見せている顔とは全く違う顔。普段の眠そうな顔からはとても想像ができそうにない顔。
何の感情もない顔だった。
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